「雑談力が上がる話し方-30秒でうちとける会話のルール-」の要約と、特に役立つ部分を紹介しました!
コミュニケーションを学び始めようと思った人にまずオススメしたい一冊です。
本書を読んで欲しい人
- 普段の雑談が苦手な人
- 雑談で沈黙が気まずい人
- 雑談って無駄だなぁ、と思ったことがある人
- コミュニケーションの勉強をはじめたばかりの人
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本書は、コミュニケーションの勉強をする人が1冊目に選んで欲しい内容になっています。
なぜなら、雑談で使えるテクニックだけでなく、雑談で大切にすべき「雑談のルール」が綺麗にまとまっているからです。
このルールは、雑談だけでなく、コミュニケーションをする上でとても重要なものばかり。
そのため、本書を出発点にすることで、今後のコミュニケーションの勉強が効率的に進むようになります。
例えば、会話テクニックとして有名なオウム返し。
これも、雑談のルール「相手が話したいことを話してもらう」を知らなければ、どんなにオウム返しをしても、盛り上がりの欠ける会話になってしまいます。
だからこそ、全ての会話の基礎となる「雑談のルール」を学べるこの本は、まず最初に読んで欲しい一冊です。
それでは、本の紹介をしていきます!
著者と本の概要
著者の齋藤孝さんは、明治大学の教授として、教師を志す学生を指導している方です。
一方、教育やコミュニケーションをテーマとした書籍をいくつも執筆しています。
そんな齋藤さんですが、大学で授業をする中で、雑談に苦手意識を持つ生徒が多いことに気づき、問題意識を持ち始めます。
そこで、「雑談力を鍛えるレッスン」を授業として取り入れるようになったそうです。
以下、まえがきからの引用です。
かつては、ご近所さんや親戚、兄弟といった、社会の中で自然と雑談力は鍛えられ、知らぬうちに身につきました。ところが現在は、近所の人の顔さえわからない状態。雑談そのものに触れる機会も少なくなりました。となると当然、先のように「気まずくなる」「沈黙してしまう」「何て話しかければいいのかわからない」といった悩みを抱える人も急増してきます。
そんなこともあり、私は大学の授業で、生徒同士、あえて知らない人と自己紹介をし合うといった「雑談力を鍛えるレッスン」を行なっています。効果はテキメン。ちょっとの練習で、誰もが身につけられるものだったのです。
雑談力が上がる話し方-30秒でうちとける会話のルール-/齋藤 孝/ダイヤモンド社
雑談テクニックを教え、生徒同士が雑談テクニックを実践するレッスン….
コミュ障だった私からすると、中学校や高校時代に受けたかった授業No1です。
このように、筆者である齋藤孝さんは、雑談力を鍛える達人です。
本書は彼の「雑談力を鍛えるレッスン」で教えられている「雑談で大切にするルールやマナー、テクニック」をわかりやすく、実践しやすい形で紹介しています。
大学の授業って一つの講義で5万円だよ!
それがたった一冊で学べるなんて!!
本を読むことの大切さを感じるね。
けどパンダ、お金の話はやめなさい。
君もパンダだぞ
要約と役立つポイント
ここからは、本書の簡単な要約と、すぐに役立つテクニックや考え方の紹介をしていきます。
この本の目次は以下の通り
- 第1章:トークや会話術とは違う、雑談の5つのルール
- 第2章:これで気まずくならない!雑談の基本マナー
- 第3章:すぐにできる、雑談の鍛え方&ネタの仕入れ方
- 第4章:ビジネスに使える雑談力
- 第5章:人、漫画、テレビ。あらゆる達人からテクを学ぼう
- 第6章:雑談力は雑草力。厳しい時代を「生きる力」そのもの
第1章:トークや会話術とは違う、雑談の5つのルール
この章では、雑談において大切にすべきルールが、5つ紹介されています。
- ルール① 雑談は「中身がない」ことに意味がある
- ルール② 雑談は「あいさつ+α」でできている
- ルール③ 雑談に「結論」はいらない
- ルール④ 雑談はサクッと切り上げるもの
- ルール⑤ 訓練すれば、誰でもうまくなる。
ルール①だけでも、さっそく面白そうですよね。
雑談は中身がなくていいのだそうです 笑
では、なんのために雑談はするのでしょうか?
その答えは「場の空気を作ること」
最初は「どういうことだ?」と思いました。しかし、よく考えてみると、場の空気を作るために雑談をする経験を、誰もが目の当たりにしたことがあります。
それは、学校の授業。
最初に雑談してから授業に入る時と、いきなり授業に入る時では、雑談がある時の方がすんなり授業に入れた経験がある人もいるのではないでしょうか。
上手な先生になると、雑談から始まったのにいつの間にか授業に入っていた、そんな経験ができます。
このように、本題の前に空気を作ることこそが雑談の目的であると筆者は述べています。
また、雑談の目的を「良い空気を作ること」としているからこそ、「中身がない」ことに意味があったり(ルール①)、延々と雑談をせずに、サクッと切り上げる(ルール④) といったことが大切なんですね。
まとめると、第1章は、雑談を通じて「場の空気を作る」ために、意識するべき雑談のルール5つが紹介されていました。
第2章:これで気まずくならない!雑談の基本マナー
第2章では、雑談で守るべきマナーが紹介されています。
マナーと表現されているものの、侮ってはいけません。「気持ちよく雑談ができる人の特徴」がこれ以上ないほど、よくまとまっています。
反対に、これらのマナーができていないために「会話ができない」と悩んでいる人は多いです。
コミュニケーションでよくみられる悩みと、第2章で紹介されている「雑談のマナー」をいくつか比較してみましょう。
コミュニケーション上の悩み | 悩みの原因 | 本書で紹介されている雑談のマナー |
「話が続かない」 | ・否定が多い ・一問一答 | ・「いや」「しかし」はNG、まずは肯定と同意から ・一問一答ではなく、一問二答がルール |
「何を話題にしたらいいかわからない」 | ・話題は用意しないといけない | ・相手の話に質問で返す術 ・切り返しは相手の言葉の中にある。 |
「会話のきっかけがない」 | ・相手が話してくれるまで待ってしまう | ・目の前の相手の「見えているところ」をほめる |
「話下手だからコミュ障なのは仕方ない」 | ・話が上手い人が会話上手であると思っている | ・雑談のベストバランスは、相手8:自分2 |
例えば「何を話題にしたらいいか分からない」というのは、悩む人が多い課題です。
この悩みは、「話題とは事前に用意しておくもの」という誤解があることが原因。
確かに最低限の話題の用意は必要ですが、多くの話題は、会話の内容から連想ゲームのように見つけ出していくものです。
だから、「相手の話に質問で返す」「切り返しは相手の中にある」これらのマナーを意識すると、話の中から話題を見つけることができるようになります。
このように、コミュニケーションが上手くいかないという悩みが「雑談のマナー」という形で解決するのが第2章です。
これのマナーを実践できるようになれば「気持ちよく雑談ができる人」に早変わりすることでしょう。
「話が続かないなぁ」「会話のきっかけがないよ」「話下手だからコミュ障なのは仕方ない」といった悩みを持つ人は必見です。
第3章:すぐにできる、雑談の鍛え方&ネタの仕入れ方
第3章では、雑談ネタ (話題) の見つけ方が紹介されています。
いくつかの目次を紹介しますね。
相手との共通点を見つける
雑談力が上がる話し方-30秒でうちとける会話のルール- 一部改訂
あの人にはこの話題。「偏愛マップ」で鉄板ネタを把握
日々の疑問はそのまま雑談ネタ
1ネタ知って10ネタ広げる、具体的な方法
年代別”鉄板雑談キーワード”をチェック
この中でも、特に参考になるのは「あの人にはこの話題。「偏愛マップ」で鉄板ネタを把握」というもの
これは、相手の得意を把握すれば、雑談の話題に困らないという考え方です。
実は、雑談には、確実に盛り上がるパターンがあります。
それこそ、「相手の得意な話題を雑談の中心にする」パターン。
なぜなら、相手が得意な話題であれば、相手が勝手に盛り上げてくれるから。
コミュ障であっても、自分が得意な話題のときに、溢れるように話ができたという経験がありませんか?
コミュ障全盛期の高校時代、クラスの友達が0であった私でさえも、好きなアニメの話だけは矢継ぎ早に話すことができました。
推しキャラの話から、物語の考察やらなにまで、相手を置いていく勢いで話をしてしまった経験があります。
このように、その人にとって得意な話題というのは、喋りやすく熱が入りやすいので、勝手に盛り上がっていきます。
だからこそ、「相手が得意なことを把握しておくこと」が、雑談を盛り上げるために大切なんですね。
まとめると、第3章は話題の見つけ方を紹介しています。その中でも「相手の得意を把握しておく」は今すぐにでも使える雑談テクニックだと思います!
第4章:ビジネスに使える雑談力
ビジネスなどの堅い場面では雑談は不要である、と考えていませんか?
しかし真逆。雑談こそ、ビジネスにおける潤滑油になるんです。ビジネスに活かすための、具体的な雑談の方法を紹介しているのが第4章です。
特に面白かったところの目次を紹介します。
組織での評価も人望も、つまるところムダ話ができる人かどうか
「私語禁止」より「ながら雑談」
雑談力はビジネスのセーフティネットになる
雑談力が上がる話し方-30秒でうちとける会話のルール- 目次より一部改訂
ビジネスの現場で雑談がうまいかどうかが、「評価や人望」を決定し、「セーフティネット」、つまり失敗を取り戻せるかどうかを決定する、という衝撃の内容です。
特におもしろいと感じたのは、「雑談が、自分の失敗をカバーするセーフティネットになる」というもの。
我が家では、小さな犬を飼っていて、人が訪ねてくるのを玄関先で待ち構えています。しかし、配達などの仕事で訪れた人は、ほとんどの場合、その犬を無視してしまいます。 (中略)ところがその中で、年配の郵便配達のおじさんはだけは、犬の名前も覚えてくれて、配達に来ると必ず「今日も元気だねぇ」などとあやして、犬と会話してくれます。(中略)その郵便配達のおじさんは、”ただ郵便物を運んでくる人”ではなく、”感じのいい犬好きのおじさん”になる。(中略)すると、そのおじさんが、仕事上で何かの表紙にミスをしても許されてしまう。雑談で打ち解けた関係ができているために、少々の失敗は気にしないという状況になるのです。
雑談力が上がる話し方-30秒でうちとける会話のルール- 目次より一部改訂
要約すると、普段の雑談で打ち解けている配達員のおじさんが、配達に遅れるなどといったミスをしてしまっても、許してしまうという話です。
これは、雑談をしておくことで、失敗を取り戻せるセーフティネットが築けるということ。
実際に私の友人Aは、雑談を通じて失敗を取り戻す場面がありました。
Aさんは、大学のとある教授と顔を合わせる度に雑談をしていました。
セーフティネット発動の瞬間は、Aさんが遅刻してしまった時。
遅刻したAさんに対し、教授は「Aさんは遅刻ですか、まったくしょうがないねぇ」と一言だけ。
普段なら「社会人になったらそんなんじゃうんぬん…」などと言い出す教授がそれだけ!?と驚いたものです。
しかし、これこそが雑談によって築かれた信頼関係というセーフティネットの力。
こういった「ビジネスにおける、雑談の重要性や活用の仕方」について書かれているのが、第4章の内容になっています。
第5章:人、漫画、テレビ。あらゆる達人からテクを学ぼう
第5章では、漫画や芸能人を題材にして、雑談テクニックの紹介をしています。
特に印象に残ったのは、TOKIOの国文太一さんの「覚えている力」
自分が話したことを忘れている人には「私に興味がないのかな」と思ってしまうもの。
逆に、「お勧めしてくれた〇〇、試してみましたよ」「アイスコーヒーがお好きでしたよね、頼んでおきます」などと、自分のことを覚えている方であればいかかでしょうか。
もし長く関わりがなかった人だとしても、「自分に対する興味を持ってくれているんだな」と好印象を抱くはずです。
TOKIOの国分太一さんはこの力に優れているらしく、4、5年前に筆者の齋藤さんとお話ししていた内容を覚えていました。
その話題をきっかけに、昔のように話すことができたらしいです。
このように、むかし話したことを記憶しておくと、「相手に興味をもっている」ということを簡単に伝えることができ、人間関係が円滑に進むようになります。
だから、雑談内容を「覚えている力」が大切なんですね。
このように、漫画や芸能人などを題材にして、一歩踏み込んだ雑談テクニックを紹介しているのが第5章になります。
第6章:雑談力は雑草力。厳しい時代を「生きる力」そのもの
第6章で印象に残ったフレーズは、「人は誰もが話したがり屋」
雑談に限らず、人は話を聞いてもらいたいもの。
だからこそ、会話では人の話を聞くことが、会話上手になるためには必要不可欠です。
校長先生の話と同じように、人は興味のない話を聞かされている時に苦痛を感じます。
反対に捉えると、「自分が話してもいい状況」は気持ちが良いものなんですね。
筆者は、ご自身の授業中に、あえて生徒同士がおしゃべりする時間を設けているそうです。
なんと、これを取り入れてからというもの、授業に活気がではじめたとのこと。
このように、人は誰しもが話したがり屋なので、聞き上手になれば会話は続きやすくなります。
その結果、相手は「また話したい」と思ってくれるようになるはずです。
「人は話したがりだ」と思いながら会話できると良いですね。
まとめ
今回は、「雑談力が上がる話し方-30秒でうちとける会話のルール/齋藤 孝/ダイヤモンド社」の要約と、私が面白く感じたり、役立ちそうだと感じたりした内容に絞って、紹介してきました。
まとめると、コミュニケーションの勉強をする人が1冊目に選んで損しないくらい、良い内容でした。
雑談で使えるテクニックだけでなく、コミュニケーションで大切な考え方が「雑談のルール」としてまとまっているからです。
最初に述べたように、コミュニケーションにおける基礎ルールを知らなければ、テクニックをいくら知っていても、会話はうまく続きません。
しかしこの本は、「会話の土台である雑談のルール」を学べる、とても素敵な本だと思います。
自然と続けられ、気づいたら盛り上がっていた。そんなコミュニケーションがしたい人は必読の一冊です。
気になった方はぜひ手に取ってみてくださいね。
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